2009年7月 5日 (日)

穿孔貝

N0106 8/21に実施する、神奈川県の中学理科教員初任者研修の講師を頼まれていて、その実習の下見で、神奈川県総合教育センターの先生方と片瀬東浜~七里ヶ浜~由比ヶ浜を歩いた。

写真は七里ヶ浜の海岸でみつけた、砂浜の基盤である第三紀層の岩石に潜り込んだ現世の穿孔貝(Boring Shell)の様子。たぶんカモメガイ。

貝殻の半分がヤスリのような模様になっており、これを回転させながら岩を削り、自分の住む穴をつくっているらしい。幼生時代には浮遊生活をするが、岩に付着して以降はこのような穴の中で生活する。成長と共に穴を広げるので、入り口は狭く、奥行きが広くなる。つまり、一生を通じてこの穴から出ることはない。穴に出入りする海水からプランクトンを濾しとって生活する。

住処にしている岩に守られて外敵に襲われないという点では非常に生存に有利だが、このように岩が礫として分離して流され、干上がってしまうと一巻の終わり。ちょっとギャンブルな人生になってしまう。

N0107 貝殻の全体像。左端に妙な形の殻があるが、これも貝殻の一部で、全体としてきれいな丸い形状をつくるようだ。干上がってしまうと分離して残りにくい。貝殻自体ももろくて壊れやすい。

生痕化石としてこれらの穿孔貝の開けた穴は残りやすく、特に不整合面にこの生痕の穴があると、潮間帯の状態であったことを示す示相化石として使える。大磯丘陵や、生田緑地で、下末吉海進の砂層の基底部や、おし沼砂れき層の基底部でしばしば観察される。運がいいと住人の貝殻も化石として残る場合がある(館山の沼サンゴ層で見たことがある)が、普通は穴だけが残っている。

月曜に発表したばかりで、ちょっと不思議な感じだが、たぶん通して江ノ島~七里ヶ浜~由比ヶ浜の区間を歩いたのは7,8年ぶりくらいのはず。懐かしいような気がした。由比ヶ浜から江ノ電の長谷駅に出たが、平日の割に観光客が多いのにびっくりした。

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2009年7月 1日 (水)

海洋開発シンポジウム

002 月曜は横浜市開港記念会館で開催された、土木学会の海洋開発シンポジウムに参加。卒業生の石井さんの湘南と九十九里の砂組成の研究発表。

発表自体はうまくいって、なによりも卒業研究が論文になって残ったのは、たいへんよいことなのだが、これも渡辺国広さんのおかげである。

特別セッションで、離島の問題、特に小笠原の話を聴いた。野外調査法及び実習(2)の行き先のひとつに、フィジーと並んで小笠原諸島を考えているので、いろいろと参考になった。

工学の話は勝手が違うので、どうも縁遠く感じていたが、砂の組成の話でしばらくネタは続きそうなので、ここ2,3年、ちょっと続けて出してみようかという気になっている。

写真は開港記念会館の建物。文化財に指定されているようだ。

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2009年6月28日 (日)

谷沢川

N0006 吉崎研の学生さんたちの依頼で、土曜の午後に等々力渓谷を案内した。写真は丸子川との交差の南側で、我々から離れようとするカモたち。

等々力渓谷で見られる地質の層序と堆積環境の変遷、多摩丘陵や武蔵野台地のなりたち、全体として隆起傾向にあること、箱根-東京軽石層とロームなど解説。不透水層と透水層になっている礫層の解説、湧水の組成、特に窒素の多さの問題。古墳時代の横穴式石室の観察。谷沢川の蛇行と崖の形成の位置関係。礫種と礫径から、河川の推定。環状八号の橋とゴルフ橋の比高から谷沢川河床の高度変化を読む。上総層群の説明。斜面の植物の話。九品仏川と谷沢川の河川争奪の話。地下水湧出による谷頭浸食の話。

天気も良く、土曜の午後ということで人通りが多く、通行の邪魔にならないよう、説明する場所を確保するのにちょっと苦労した。蚊も出ていたようだ。僕は刺されなかったが。早めに切り上げるつもりが1時間半。当日14時の気温は、東京30.8度、羽田28.0度、練馬32.8度だったが、渓谷内の気温表示は22.0度。木陰と湿地のおかげで涼しいようだ。こんなに気温が違うとびっくりする。

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2009年6月10日 (水)

岩石と人間生活

6020 写真は野川公園付近の国分寺崖線。

放送大学の面接授業で、2週続けて土日に共通科目「岩石と人間生活」の講義を世田谷学習センターで実施した。

内容的には例年と、そう変わりはないが、「グランドキャニオン探検」の放送が間に入ったので、宣伝して見てもらうようにした。

最終回は東京の地形、特に武蔵野台地の成り立ち。野外で実際に観察して歩くゼミを過去に実施していたことを話したら、学生のみなさんから、ぜひ参加してみたい、という要望が多く寄せられた。

過去に本務校で実施していた「武蔵野台地をあるくゼミナール」そのものだと(僕が)つまらないので、植物…水生植物や雑木林の解説も入れて、地形・地質と植生をセットにして、「武蔵野の自然探訪」というような実習にしたらどうだろう、と考えている。

企画書にして世田谷の所長さんに送ってみるつもりだが、どうなることか。

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2009年5月31日 (日)

グランドキャニオン探検

0365 久しぶりに科学番組の監修を担当している。

海外制作番組の日本語版制作のお手伝いで、MAの現場にも立ち会わせてもらった。

NHK教育「地球ドラマチック」
2009年6月4日(木)19:00~19:40
『グランドキャニオン探検 ~20億年のスペクタクル~』
http://www.nhk.or.jp/dramatic/

北米・アリゾナ州にある、コロラド川が刻んだ1600mの渓谷・グランドキャニオンには、20億年に及ぶ地質の記録が、断面として現れている。第四紀の火山活動もある。授業にもすぐ使えそうな内容。

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2009年5月20日 (水)

八ヶ岳方面実習下見

0007石英片岩の褶曲。群馬県南牧村砥沢の東にて。

八ヶ岳周辺で後期開講の地学実験の野外実習の下見。今回は火山だけでなく、岩石や化石の学習ができるところを周辺で探してみたが、変成岩に関しては群馬県側でいくつかよい場所が確認できて、うまくいった。しかし、地層を観察し化石を採集する予定だった、山中地溝帯の露頭が、どれも条件が悪く、化石も空振りに近く、まるでダメだった。

実習下見そのものは、大石先生のフィールドでもあり、見学ポイントは完璧であったし、生物学実験組と合同でいろいろと勉強になり、非常によかったのだが、化石の学習の場所に関しては再考の必要がある。久しぶりにいわきをやろうかな。

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2009年5月11日 (月)

瀬又

0758_01 連休中、高校時代の友人につきあって、瀬又の堰の露頭に行った。大学1年の秋以来、20余年ぶりで、場所をすっかり忘れていた。当時は1年先輩の人の企画で、単にくっついていっただけだから場所の記憶が薄いのかもしれない。当時は誉田の駅から歩いたが、今回は土気から友人の車に乗せてもらった。土気の駅周辺はかなり開発が進み、変貌している。

 約30万年前といわれる藪層の露頭が、竹藪の奥に残っていた。昔、採集したときよりも、崩落が進んでかなり上位の層準を見ているのではないかと思う。腕足類のカメホオズキチョウチンなどはひとつも見なかったし、テフラも見えない。

 堆積構造を見ると、斜交層理も発達していて、かなり流れの速い条件で堆積したように見える。原地性、異地性の化石を理解するのに、化石の産状がよくわかって、学生実習にいい場所だと思う。個人的には、露頭をよく観察して欲しいので、これ以上崩落が進まないで欲しいが、仕方がないか。人が来なくても少しずつ崩れるのだろうから。

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2009年5月 9日 (土)

St. Paul's Campus誌

0801_01 立教大学のキャンパス誌「St. Paul's Campus」のインタビュー取材を受けた。学生のサークルで、3500~4000部を発行しているということだが、無料で、大学からの援助もなく、広告収入だけで費用をまかなっていると聞いて驚いた。うらやましいことだ。

 なぜ僕のところに取材に来てくれたのか、意外な気がするが、「地学について語ってくれ」ということだったので、なるべく広い範囲の地学の話になるように、気をつけてみた。まあたしかに立教には地学はないし、ネットで検索すると僕のサイトが引っかかるかもしれないな。

 ちょうど、木曜の地学(1)の講義で「人類、月に立つ10」を視聴させるタイミングだったのと、そのあとの地球科学概論(1)でも、映像を見せる必要を感じていたので、インタビューはそこそこに、講義の方を聴講してもらった。その方が話が早いだろうと。

 結局、2コマ、合計3時間も聴講してもらって、悪かったかな、と思っているのだが、まあいいだろう。石に興味を持ってもらったようで、こちらとしてはそれで充分だと思う。

 今後、こういう機会もあるだろうと思い、想定問答集も作ってあらかじめ送っておいたのだが、内容過多になって編集の上で迷惑だったんじゃないかと、ちょっと反省している。→http://www.h-hagiya.com/es/qa090430.htm

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2009年4月12日 (日)

自然科学科フレッシャーズキャンプ

0663 千葉県のマザー牧場から鹿野山を望む。

 4月から自然科学科がスタートし、36名の第一期生が入学してきた。

 4/8,9はフレッシャーズキャンプで、他の2学科と共に千葉で合宿。ちょうど桜と菜の花の盛りで、天気も快晴、穏やかな1日を過ごした。

 学科の行事で6人1組でオリエンテーリング。制限時間が標準で90分のところを60分にしたので、どの班も全部を回りきれなかったようだ。

 設置してある6つのポストにオリジナルの問題を掲示し、解かせた。僕の出題した問題は「地球上のある地点から北に1km、東に1km、南に1km移動したら、最初の地点に戻ってしまった。ある地点とはどこか?」というもの。緯度経度を学ぶ際の定番とも言える問題だ。

 2年前から準備し、当日も全部を仕切ってくれた高木先生に感謝。

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2009年3月28日 (土)

環礁

0467 環礁。フィジー、バツイラ海峡コロ島西側にて。

 この環礁の成因は、場所がフィジーの内海だけに、ダーウィン流の海洋島沈降説では説明しにくい気がする。あるいは局所的に沈降しているのかもしれないが。

 島を取り巻く珊瑚礁は、外洋に面した部分の珊瑚の成長が活発で、内側では珊瑚があまり育たないので、珊瑚礁は次第に沖合に前進し、ラグーンが形成されるようになる。海水面変動や地盤の沈降に遭い、成長の著しい外縁部のみ珊瑚礁が残り、他の部分が光の届かない水深になってしまうと、このような輪郭だけを残した環礁ができる。

 上空から見る限り、立派な環礁なのだが、この水域には他にこのような珊瑚礁はなく、特異な存在だ。どのような事情で生まれたのだろうか。例えば別府湾のようなリフトが存在するのだろうか。とても不思議だ。

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